平成16年設計課題

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宿泊機能のある「ものつくり」体験施設 7/25(日)

出題傾向

平成16年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題が発表されました。まず、過去に出題された課題を参考に、”宿泊施設のある「ものつくり」体験施設”の出題傾向を考えてみました。

設計主旨について
課題の最初に記載される最も重要な設計条件として、宿泊部門・体験施設部門・管理部門の適切なゾーニングと動線計画、各部門の利用時間の配慮、宿泊室・体験施設の自然採光、周辺環境への配慮、施設の防犯、アプローチ制限などが考えられます。

<敷地及び周辺条件>
過去の出題では敷地面積2000u〜3000uの角地が多く、それぞれの道路から主アプローチ、従アプローチを考慮した計画を行うことが大切です。今年の課題でも東西南北の接道が想定でき、多様なパターンが考えられます。周辺条件も様々考えられますが、隣地に静寂を要する住宅や病院などがある場合には、十分な配慮が必要です。

<建築物>
ラーメン構造による鉄筋コンクリート造2〜3階建の出題に多く、地階が求められることもあります。延べ面積は宿泊部門の規模ににより異なり、2000uから5000u以上が考えられますが、平面図の作図は2〜3面だと思われます。高層の建築物が出題される場合は、基準階平面図を用い全体の構成を表現することになるでしょう。また、所要室として考えられる多目的ホールなど、大きな空間を計画するために柱を抜き、鉄骨の梁を使用することが考えられ、"一部鉄骨造としてもよい" 条件付けられることもあります。
A2の答案用紙に1/200で作図することを考えると、これ以上に大きな敷地面積や延べ面積では用紙に納まらないことも面積範囲を制限していると思われます。

<屋外施設>
施設利用者用・サービス用の駐車スペース、駐輪スペースが考えられえます。また、敷地内にまとまった広さの屋外体験スペースやコミュニティ広場が要求されることも十分考えられます。

<所要室>
宿泊部門の所要室は、ロビー、ラウンジ、フロント、レストラン、厨房、宿泊室、管理事務室、リネン室などが想定できます。それぞれの室機能を理解し、管理部門を含めた動線を考慮し、計画できるようになることが大切です。体験施設部門は「ものつくり」の内容により所要室も変わります。木工、陶磁器、漆器、織物、染物などの工芸品から、家電、機械、自動車、船舶、住宅などの産業製品まで想定できますが、体験施設としての役割を考えると大規模なものではないと思われます。

<要求図面>
近年の出題は、1階平面図兼配置図(1/200)、2階平面図(1/200)、各階平面図(1/200)、断面図(1/200)、面積表という構成が多いようですが、立面図が要求される場合もあり、練習しておく必要があります。



類似課題

平成8年に出題された「景勝地に建つ研修所」は、南に傾斜した敷地をを有効に活用し、北側・南側の良好な景観を取り込んだ計画が求められました。宿泊部門、研修部門、管理サービス部門を持った建築物ですが、研修部門を体験施設部門と置き換えると、今年の課題に類似します。建物全体の面積構成や所要室の要求など、参考にできることも多いため概要を示しておきます。

 平成8年の課題概要 「景勝地に建つ研修所」
敷地 45m×45m 2025m2 北側道路(幅員10m) 南傾斜高低差4m
延べ面積 1500m2以上2000m2以下
屋外施設 野外パーティ(バーベキュー等)のできるスペース、駐車場(研修者用2台、サービス用1台)
所要室 宿泊部門 宿泊室16室(洋室2人部屋・約20u/1室(間口の幅3m以上、バス・トイレ付き)、講師用宿泊室(バス・トイレ付き)、リネン室
研修部門 研修室(大)、研修室(小)、講師控室、資料室
管理・サービス部門 食堂、厨房、浴室(大)、浴室(小)、管理事務室、管理人室、従業員更衣室、洗濯・乾燥室
その他 エントランスホール、ラウンジ、機械室、倉庫、便所
要求図面 地上1階平面図兼北側配置図(1/200)、地下1階平面図兼南側(1/200)、地上2階平面図(1/200)、断面図(1/200)、面積表

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