設計製図>平成26年課題

介護が必要な親(車椅子使用者)と同居する専用住宅(木造2階建)

平成26年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題

「介護が必要な親(車椅子使用者)と同居する専用住宅(木造2階建)」全ブロック(全都道府県)共通

平成26年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題が発表されました。「介護が必要な親(車椅子使用者)と同居する専用住宅(木造2階建)」です。最近の出題傾向である要求室の増加や高齢者(車椅子使用者)との同居などの条件は、計画力(エスキース)と作図力、的確な作図スピードと時間配分などが大きく問われる課題と言えます。


 


専用住宅

専用住宅として気をつけなければならない問題として、「親子のふれあいや家族の団らんを大切にした居間、食事室、台所の計画」や「家族・友人等で楽しみながら料理・食事ができる空間の計画」、「高齢者の同居」等が考えられ、室の面積構成や配置にも配慮が必要になります。

車椅子使用者

この課題では、特に「車椅子使用者である親が同居」することで、バリアフリーで求めらる屋内での車椅子利用、床高の指定、スペースの大きさ、駐車スペースからの車椅子の利用、玄関ポーチ及び屋外テラスへの屋外スロープ等の設置に配慮しなくてはなりません。

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設計条件の想定

<設計主旨>

課題の最初に記載される最も重要な設計条件として、

・車椅子使用者の利用に配慮、スペースの大きさ、床高の指定、屋内での車椅子利用
・屋外や駐車スペースからの車椅子の利用、玄関ポーチ及び屋外テラスへの屋外スロープの設置
・日当たりに配慮
・2階壁面を1階壁面より後退させる
・道路側に生垣、植栽を設ける
・既存樹木に関連させた配置計画とする
・建築物の耐震性を確保

などが考えられます。

<敷地>
敷地は、16m×16mのようなm単位の寸法で出題されることが多いようです。敷地面積としては、250〜300m2程度が想定できます。一面道路、二面道路(角地を含む)がありそれぞれ東西南北の接道が想定でき、多様なパターンが考えられます。また、敷地の一部を緑地スペースとし、建築物を制限することも考えられます。

<延べ面積>
要求される延べ面積は、180〜230m2の出題が最も多く、近年の出題では英会話教室併用住宅が最高で、230〜270m2、最低は、ピアノ教室併用住宅の150〜190m2です。A2の答案用紙に作図するため、これ以上に大きな敷地面積や延べ面積では用紙に納まらないことも面積範囲を制限していると思われます。

<構造、階数及び建築物の高さ>
木造2階建が指定されています。二級建築士試験では、その要求条件から在来工法で解答します。

<要求室>
玄関、居間、食事室、台所、夫婦室、子供室、親の部屋、予備室、納戸、浴室、洗面脱衣室、洗面所、便所などがあり、特に居間、食事室、台所は1室としてもよいと条件されることも考えられます。それぞれの室機能を理解し、適切な動線計画ができるようになることが大切です。

<エレベーター及びスロープ>
屋外からの車椅子の利用、玄関ポーチ、屋外テラスへの屋外スロープの設置など、細かい条件が要求されると思われます。また、エレベーターの設置の可能性もあります。

<屋外施設等>
駐車スペース、駐輪スペースが要求されることが考えられます。車椅子の利用に配慮する場合は、乗降のための広い面積の駐車スペースが必要です。家族が地域との関わりを大切にしている場合など、例えば「家族・友人等で料理・食事ができる〜」との設計条件から5台分の駐輪スペースが要求された課題もあります。その他、過去には、屋外に家庭菜園や花壇を設けるなどの要求があった課題もあります。

要求図面

今年は、課題発表時に要求図面が公表されました。”要求図書については、1階平面図兼配置図、2階平面図、立面図、断面図、2階床伏図兼1階小屋伏図、部分詳細図(断面)、面積表、仕上表及び計画の要点等とする。
(注) 答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(部分詳細図(断面)については10ミリメートル)の方眼が与えられている。”と公表されています。

今回の課題では、断面図と部分詳細図(断面)、仕上表が追加されています。従来の試験とは、答案用紙の図面枠の配置が随分違うことが予想されます。

部分詳細図(断面)
従来の矩計図の一部を指定する出題だと思います。例えば、基礎部分詳細図、2階床部分詳細図、屋根部分詳細図です。その他、車椅子使用者関連の部分詳細図も想定できます。詳細図は矩計図の理解が必要で、断面図との関わりを求めらる場合もあります。

計画の要点等について
”計画の要点等については、概ね100〜200字程度で課題における特定の要求室に関し、その計画等に当たって工夫した点等を具体的に記述するものとする。”と公表されていますので、記述した文章と図面の整合性が重要です。

5時間という限られた時間の中で、テーマをもった2階建ての建物を計画し、平面図2面を描き上げるだけでも大変な作業です。

2階床伏図兼1階小屋伏図を描くためには、木構造の十分な知識が必要ですが、部分詳細図を描くにあたってより一層深い理解・知識が求められます。

本年度の課題は、エスキースと木構造の理解に重点を置きながら、作図のスピードを確実に身につけ、完成度を高める必要があるといえます。

過去の類似課題
過去の出題を振り返ってみると、類似課題は数回出題されています。過去の出題は、建物全体の面積構成、所要室の要求など参考にできることも多く、概要を示しておきます。

平成8年の課題概要
高齢者の同居する専用住宅(木造2階建)
敷地
18.20m×18.20m 331.24m2、北側接道(道路幅員6.0m)
延べ面積
150m2以上180m2以下
家族構成
夫婦、子供2人(男子中学生、女子小学生)、妻の母
所要室
1階
玄関ホール、居間、食事室、台所、浴室、洗面脱衣室、便所、納戸、高齢者室、高齢者便所
2階
夫婦室、子供室(2室)、予備室、洗面所、便所、納戸
駐車・駐輪スペース
小型乗用車(5人乗り)2台

平成10年の課題概要
将来の高齢化に配慮した専用住宅(木造2階建)
敷地
17.29m×16.38m 283.21m2、北側接道(道路幅員6.0m)
延べ面積
160m2以上190m2以下
家族構成
夫婦(夫50歳、妻47歳)、子供2人(女子大学生、男子高校生)、妻の母
所要室
1階
自動車車庫、玄関ホール、居間、食事室、台所、夫婦室、浴室、洗面脱衣室、便所、納戸
2階
子供室(2室)、予備室、洗面所、便所、納戸

平成12年の課題概要
趣味(音楽)室のある親子二世帯住宅
敷地
16.50m×20.00m 330.00m2、西側接道(道路幅員6.0m)
延べ面積
180m2以上210m2以下
家族構成
親世帯:夫婦(60歳代)
子世帯:夫婦(40歳代)、子供1人(女子中学生)
所要室
1階
玄関ホール、居間、食事室・台所、趣味室、
夫婦室(親世帯)、浴室、洗面脱衣室、便所、納戸
2階
夫婦室(子世帯)、子供室、和室、洗面所、便所
駐車スペース
小型乗用車(5人乗り)1台





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