設計製図>平成28年課題

景勝地に建つ土間スペースのある週末住宅(木造2階建て)2016.06.11(土)

平成28年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題


景勝地に建つ土間スペースのある週末住宅(木造2階建て)
全ブロック(全都道府県)共通

平成28年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題が発表されました。景勝地に建つ土間スペースのある週末住宅(木造2階建て)です。計画力(エスキース)と作図力、的確な作図スピードと時間配分などが大きく問われる課題と言えます。

この設計課題から「景勝地に建つ」「土間スペースのある」「週末住宅」という3つのキーワードが読み取れます。



景勝地に建つ

景勝地とは、景観・景色が良い土地です。山、海、渓谷など、住宅では、別荘地という位置づけになります。



土間スペースのある

土間とは、屋内で床組をしていない空間です。例えば、一般的な玄関ホールは床組が無いので土間スペースです。

課題条件としては、屋外と一体的に利用できる土間スペースの空間が要求されると思われます。玄関や台所、居間に隣接した同じレベルの土間です。



週末住宅

週末住宅とは、趣味を活かしたセカンドハウスです。

家族・友人等で楽しみながら料理・食事・作業・スポーツ等ができる空間の計画、その室の面積構成や配置にも配慮が必要になります。

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設計条件の想定

<設計主旨>

課題の最初に記載される最も重要な設計条件として、

・土間スペースの大きさ、床高の指定
・屋外や駐車スペースからの土間スペースの利用
・景観・日当たりに配慮
・趣味・作業関連を屋外施設
・道路側に生垣、植栽を設ける
・既存樹木に関連させた配置計画とする
・建築物の耐震性を確保

などが考えられます。

<敷地>
敷地は、16m×16mのようなm単位の寸法で出題されることが多いようです。敷地面積としては、250〜300m2程度が想定できます。一面道路、二面道路(角地を含む)がありそれぞれ東西南北の接道が想定でき、多様なパターンが考えられます。また、敷地の一部を緑地スペースとし、建築物を制限することも考えられます。

<延べ面積>
要求される延べ面積は、180〜230m2の出題が最も多く、近年の出題では英会話教室併用住宅が最高で、230〜270m2、最低は、ピアノ教室併用住宅の150〜190m2です。A2の答案用紙に作図するため、これ以上に大きな敷地面積や延べ面積では用紙に納まらないことも面積範囲を制限していると思われます。

<構造、階数及び建築物の高さ>
木造2階建が指定されています。二級建築士試験では、その要求条件から在来工法で解答します。

<要求室>
土間スペース、玄関、居間、食事室、台所、夫婦室、子供室、趣味室、予備室、納戸、浴室、洗面脱衣室、洗面所、便所などがあり、特に居間、食事室、台所は1室としてもよいと条件されることも考えられます。それぞれの室機能を理解し、適切な動線計画ができるようになることが大切です。

<エレベーター及びスロープ>
車椅子を利用する場合は、玄関ポーチ、屋外テラスへの屋外スロープの設置など、細かい条件が要求されると思われます。また、エレベーターの設置の可能性もあります。

<屋外施設等>
駐車スペース、駐輪スペースが要求されることが考えられます。車椅子の利用に配慮する場合は、乗降のための広い面積の駐車スペースが必要です。家族が地域との関わりを大切にしている場合など、例えば「家族・友人等で料理・食事ができる〜」との設計条件から5台分の駐輪スペースが要求された課題もあります。

要求図面

今年は、課題発表時に要求図面が公表されました。”要求図書については、1階平面図兼配置図、2階平面図、立面図、断面図、2階床伏図兼1階小屋伏図、部分詳細図(断面)、面積表、仕上表及び計画の要点等とする。
(注) 答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(部分詳細図(断面)については10ミリメートル)の方眼が与えられている。”と公表されています。

部分詳細図(断面)
矩計図の一部を指定する出題だと思います。例えば、基礎部分詳細図、2階床部分詳細図、屋根部分詳細図です。その他、土間スペース関連の部分詳細図も想定できます。詳細図は矩計図の理解が必要で、断面図との関わりを求めらる場合もあります。

計画の要点等について
”計画の要点等については、概ね100〜200字程度で課題における特定の要求室に関し、その計画等に当たって工夫した点等を具体的に記述するものとする。”と公表されていますので、記述した文章と図面の整合性が重要です。

5時間という限られた時間の中で、テーマをもった2階建ての建物を計画し、平面図2面を描き上げるだけでも大変な作業です。

2階床伏図兼1階小屋伏図を描くためには、木構造の十分な知識が必要ですが、部分詳細図を描くにあたってより一層深い理解・知識が求められます。

本年度の課題は、エスキースと木構造の理解に重点を置きながら、作図のスピードを確実に身につけ、完成度を高める必要があるといえます。



過去の類似課題
過去の出題を振り返ってみると、類似課題は数回出題されています。過去の出題は、建物全体の面積構成、所要室の要求など参考にできることも多く、概要を示しておきます。

平成23年の課題概要
趣味(自転車)室のある専用住宅
敷地
18.00m×18.00m 324.00m2、北側接道(道路幅員6.0m)
延べ面積
160m2以上200m2以下
家族構成
夫婦(40歳代)、子ども21人(男子小学生、女子小学生)
所要室
1階
趣味室、玄関、居間・食事室・台所、家事室、予備室、シャワー室、洗面脱衣室、便所
2階
夫婦寝室、子ども室(1)、子ども室(2)、浴室、洗面脱衣室、納戸
屋外施設等 屋外テラス、ガーデニング用の庭、乗用車2台、自転車5台、屋外スロープ

平成16年の課題概要
趣味(フラワーアレンジメント)室のある専用住宅
敷地
18.50m×16.50m 30525m2、北側接道(道路幅員6.0m)
延べ面積
150m2以上190m2以下
家族構成
夫婦(50歳代)、子供1人(男子大学生)
所要室
1階
玄関、居間、食事室・台所、趣味室、和室、浴室、洗面脱衣室、便所、納戸
2階
夫婦室、子供室、洗面所、便所
駐車・駐輪スペース
小型乗用車(5人乗り)1台、自転車3台





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